浜崎廣『雑誌の死に方』

 雑誌を生物として、その生い立ちから、分岐、そして死ぬまでを描いた本。特にタイトルにある様に、死に方(=廃刊)について詳しい。
 本、雑誌を生き物とするのは表紙という顔があり、名前があり骨となる目次があるという肉体的な面。それから寿命があり、環境に応じて変化する点、同類個体で生態系を作る為である。(確かに、この見方はとてもおもしろい。とはいえ、この6点、もう少し突っ込んであげても良かったなと思う。)
 死に方についてを要因分けしたり、死なせ屋の存在や、廃刊告知、創刊号との比較などは非常に楽しい。よくここまで調べたものだ、と感嘆する。
 資料として概観するにはとても楽しい本である事は確かだ。本よりも雑誌で出してくれたら、なおのこ面白かったに違いない。
 何を言えば、設定も調査もしっかりしているのに、量が多い所為か検証が緩い所。生き物という設定は非常に楽しいのだから、その後でもこの6点でせめて行っても良かったのに、と思わなくもない。