フーコー『異常者たち』

 フーコーの1974年から1975年の講義録。
 19世紀末までに精神医学が西欧でいかに浸透していったかを、
異常者たちを3つの類型にあてはめて、概観している。
 この3つの異常者たちとは、すなわち
・怪物的人間
・矯正すべき人間
・自慰する者
 である。
(とはいえ、2番目の矯正すべき人間にはほぼ言及をしない)

 以下、扱ったのが自慰する者であるため、そこのみについて。
 19世紀から、自慰はすべての害悪の根源とされる。
そのため、ブルジョワジー階級では子供の自慰を止めさせるために、
親自身が子供の寄り添い、医学的知識を社会的に付与されて、
子供のセクシュアリティを監視するようになる。
(他方、プロレタリアート階級では、反対に
親子の適度な距離が作られるようになったのだが)
 親と子供のこの関係は、それまで社会に中に組み込まれていた
セクシュアリティとそれにともなう事件といったものなどを、
精神医学や法体系の中に組み込むようになる。
 そして新たな「犯罪者」を生み出していく過程であったとする。

 フーコーの性に関する異常者たちの論点で珍しいものは、
3/17の近親相姦ではないだろうか。そして同時にここの部分は、
正直いらないのではないだろうか?