アーカイブ事典 大阪大学出版会

 アーカイブってよくきくけど、よく知らなかったので。
 少しまえでまでは文書または記録史料という訳語があてられていたが、コンピューター用語としての用法がひろがり、同時にまとめてアーカイブと訳されずに使われるようになった。そのため、従来存在した文書・記録史料との境の問題があらわれている。また、文書に関しては明治43年に大審院判例で定義がなされている(「文字もしくはこれに代わるべき符号を用い永続すべき状態においてある物体の上に記載した(現代仮名遣い、漢字に変更の上一部のみの抜粋)」もののこと。

 小川氏の意見としては、データのアクセスの補助手段としてもよいだろうか。
 体系的な導入方法の決定→収集→整理→保存→閲覧/調査の流れがある。それぞれに技術が要求されるところだが、少なくとも日本でのアーキビスト教育はまだ不十分と言えるだろう。まぁ、学芸員資格・司書資格なら猫も杓子も単位だけでとれるけど。

 アーカイブにおける電子メディアの利用は、手放しで推進されているようにも見受けられる。が、この本ではその部分には懐疑的である。現メディアの脆弱さと経済的問題をあげ、マイクロフィルムをおしている。
 それは上記の保存/調査という点がアーカイブの中心として据えられているからではないだろうか。勿論、きちんとした保存がなされなければ閲覧や調査すらも適わない。だがここには利用の点をもう少しおしてもいいのではないだろうか? その為にも、メディアというかませを使っていくこと、その為のメディア発達も唾棄すべきではないだろう?
 木下が博物館における保存と公開の相反する問題を何度も述べ、車輪の両軸に比するように、利用の観点を持っていれることはまだ微妙な域なのだろうか。あと、文書は触ってめくって文字を見なければ利用できないという、絵などとは違う問題があるからなのか。

 まぁ、某図書館の新世紀シンポジウムの手放しの電子メディア構想には、多少危険も感じますが…