「芸術の皮膚論 形の文化会・第二回年次大会講演より」『生命の形・身体の形』谷川渥 工作社

 谷川は絵画史の皮膚論を4点、以下のようにあげる。
1 「化粧術」と絵画の関係
2 「ダーマトロジカル・エステティックス」の考え方
3 ヴェロニカ伝説を伴う「版」の問題
4 「皮剥ぎ」の物語
 が、それについては例を挙げたり、差が判然としない印章を受けた。『鏡と皮膚』をちゃんとよめ、ということなのだろう。

 例えば、「化粧術」がいまいちよくわからなかった? 彫刻との関係をあてはめたことか?(身体中心・濡れ衣→襞と皮膚)このなめらかな身体・皮膚は新古典の特徴(byバーバラ・スタフォード『ボディ・クリティシズム』)だとしている。化粧というものがさすものがよくわからなかったが、おそらく化粧は隠すもの、すべらかにするものとして書いているのだろうか?

 すべらかな皮膚を標榜しすぎたあげく、すべらかではないものへの興味が広がる。それが「皮膚病理学(ダーマトロジー)」である。身体的障害が皮膚を通じてあらわれるという思想。善美←→醜悪か?

 版は左右逆転している(鏡像)と皮膚、皮剥ぎの問題は本の方が明るいだろう。