サンセット大通り

 出だしは有名なプールに浮かんだ死体。死体が事の顛末を振り返る。
 すべては大女優の妄想だったのだろうか。50になった自分を認めたくないためか。脚本家を殺してしまった彼女は「スターは年を取とらないのよ」とうそぶく。殺到した報道陣を前に示す、カメラに対する気持ち悪い程の執着。思い込みは最後は彼女を救ったのだった。

 当初は死体が隣の死体に話しだす。その顛末に笑いが起こったため、急遽有名なプールのシーンに変えられたと言う。なんにせよ、死体が語ると言う形態はこれしか見た事がない(乙一とかを除く)。皮肉的な出だしだ。しかし彼は事の顛末をかなりさめた様子で、そして大女優を気遣いながら述べる。思いやりではなく、冷静に。
 ちなみに、最大の主人公は、嘱望された監督であったにもかかわらず、女優の執事を選んだ男であろう。
 大晦日に二人が踊るシーンは、キューブリックの「シャイニング」並みに不気味。

 ともかく、「欲望という名の電車」といい「卒業」といい、壮年の女性がかなり濃い。いい年したおばさんたち(失礼)がオンナであることを求め、もがき、妄想する。日本ではこういう妄執はあまりないなぁ、と思う。文化的背景によるのだろうか。